2023年勉強になった店舗5選(海外編)

2023年勉強になった店舗5選(海外編)

本格的なコロナ明けとなった2023年。私にとっては海外出張を再開した年でした。そこで視察して勉強になったファッション関連の店を5つ紹介したいと思います。コロナ前にオープンしている店もありますが、今年訪れた店から選びました。
 
ノードストローム(Nordstrom)

 


 
言わずと知れたアメリカの百貨店。今年の1月に訪れました。コロナ禍直前にオープンしたニューヨーク・ミッドタウンのウィメンズの店です。ラグジュアリー&インバウンドにシフトしているサックスフィフス、住関連フロアをリニューアルし、総合的な中高級百貨店路線を進めるブルーミングデールズ、デジタル強化やオフプライス共存など大胆な戦略をとるメイシーズなどそれぞれ独自の道を歩んでいるニューヨークの百貨店ですが、ファッションを見るならこのノードストロームでしょう。

 


ダイバーシティー、エシカル、テーマ型編集など店作りのトレンドを詰め込んだ店です。百貨店というより大型セレクトショップのよう。あのマディソンアヴェニューのバーニーズもミートパッキングのジェフリーも無くなったニューヨーク。モードの先端を見られる店として、バーグドルフとともに君臨しています。


数日後には、ニュージャージーのガーデンステートプラザにある旧来型の店舗も拝見。改めて新旧比較をして百貨店のあり方を考えた次第です。重厚で高級のある内装は、ノードストローム神話を知らしめた書籍「サービスが伝説になった時」の頃のまま。もちろんあの頃の煌めきはなく、小売の遺物を見たかのようなものでした。


ベビーブーマーをターゲットにした中高級百貨店から見事に進化したノードストロム。この取り組みが世界にどのような影響を与えるのか注視したいと思います。
 
 
ザヒュンダイソウル(The Hyundai Seoul)

 


 
こちらは韓国の現代(ヒュンダイ)百貨店が汝矣島(ヨイド)に2021年2月にオープンした新店です。ガイドブックではソウル最大級の百貨店と謳われるそのスケールと設備、ヒーリングというコンセプトのもと高層階に設えた屋内公園などがフォーカスされていますが、私が注目したのはエントラスフロアである地下2階の充実ぶりです。韓国の先進的なデザイナーやブランド、Arket(H&Mグループ)をはじめとするグローバルプレイヤー、そして旬なポップアップがキュレートされたフロアとなっていました。20代を中心にたくさんの来店客で賑わっています。こんなに若い層がたくさん回遊する百貨店を見るのは珍しいのではないでしょうか。
 
 
 
 
アートハウス(ART HAUS)

 

 


 
台北・信義の新光三越内にあるセレクトショップです。親会社のオーナーが作った店だそうで、贅沢な作り、綺羅星のごとく揃うデザイナーたちが特徴で、ミラノの「アントニア」を彷彿させる店です。「トレンズ(Trends)」や「ワンフィフティーン(One fifteen)」など台北ではハイエンドなセレクトショップをよく見るようになりましたが、そのトップにあるようにも思います。日本が磨きあげたセレクトショップ業態が、2020年代にアジアで進化していることを実感した次第です。
 
アーダーエラー(ADERERROR)

 

 


 
ソウルの最先端エリア・聖水洞にある「アーダーエラー」の旗艦店はまさに非日常空間。入店待ちのウエイティングルームがあるのですが、そこから店舗体験のプロローグが始まります。土が動くような仕掛けを見ながら待機した後入店すると、聞こえて来るのは水の流れる音。岩と川、そして宙吊りになった宇宙飛行士・・・まるで知らない惑星に不時着したかのような空間です。そして脇にある小部屋に入ると雷鳴のような轟音も。まさしくテーマパークの一ブースのよう。ユースに向けたこんな大仕掛けを体験したのも久々です。
 
ムシンサテラス(MUSINSA TERRACE)

 

 


日本にも上陸した韓国EC「ムシンサ」。ソウルではPB「ムシンサスタンダード」のショップの他に、コミュニティ醸成のためのスペース「ムシンサテラス」を構えています。場所は若者の町・弘大のビルの高層階。そこには書籍を核にしたアートスペース、カフェ、ポップアップショップ、そしてテラスを備えています。来店客は、本を立ち読みしたり、体験型アートを楽しんだり、スタッフとおしゃべりをしたり、「ムシンサ」の世界観と触れ合い楽しげです。ブランディング、コミュニティマーケティング、非効率への挑戦という点でとても参考になる事例でした。
 
 
コロナによって海外に出る事がままならなかった3年間。やはり印象に残るのはアジアの小売業の進化です。日本のファッション小売が通ってきた道でもありますが、日本と異なる進化も多く来年以降もチェックしていきます。そして日本が進むかもしれない道を先んじて見せているニューヨークの小売業。アジアのキラキラ感を楽しみ、米国の高難度な取り組みに考えさせられた一年でした。

 

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